石榴舎ブログ 『俳句は自伝』 |                      by Toyokazu Suzuki

今月の一句 <十一月>(2)


父母の亡き裏口開いて枯木山    飯田 龍太


 第4句集『忘音』(昭43・11、牧羊社)所収。昭和41年、龍太46歳の作。故郷、山梨県境川村小黒坂の冬枯れの景を詠んだもの。
 『忘音』は、壮年期の龍太の代表的な句集。栞に畏敬する井伏鱒二の「餘談」を付載。第20回読売文学賞を受賞。
 龍太は、蛇笏・菊乃の四男として誕生。5人兄弟の兄3人は戦死その他のため早逝。
 平成4年8月、蛇笏から継承した「雲母」を900号をもって終刊とする。
 若き日に、
    露の村墓域とおもふばかりなり     龍 太
と詠んで、故郷への屈折した心情を吐露したこともあるが、龍太の句業はおしなべてふるさとの賛歌となっている。これは龍太の人柄の柔軟性によるものだ。

 以下、『忘音』より愛誦句を引く。

       十月二十七日母死去(十句のうちより一句)
      落葉踏む足音いづこにもあらず       龍 太
      あをあをと年越す北のうしほかな
      粉雪ふる常はおもひのなき径(こみち)
      子の皿に塩ふる音もみどりの夜
      萱青む母が死ぬまで掃きし庭
      どの子にも涼しく風の吹く日かな
      妻の寝(い)も子の寝もしらむ秋の風
      凧ひとつ浮ぶ小さな村の上
      春暁の竹筒にある筆二本
      桐咲いて雲はひかりの中に入る


かにかくに山廬こひしき師走かな     赤榴子
 

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