石榴舎ブログ 『俳句は自伝』 |                      by Toyokazu Suzuki

今月の一句 <十月> (1)


帰る家あるが淋しき草紅葉   永井 龍男


 草紅葉は、晩秋の季語。樹木の紅葉とは別趣の味わいがある。鎌倉の永井邸を訪ねたのは、萩の花の真っ盛りのころ。玄関の門柱を覆うばかりに紅白の萩が咲いていた。広い和室で茶菓のご馳走になった。ほのかな含羞をおびた語らいに、人なつかしい気持がこもる。永井にとって、俳句はまさに私小説そのものだった。

 以下、愛誦句を引く。


     秋の夜の人なつこさの焼林檎   龍 男
     秋深し日暮れの畑の唐辛子  
     庭石にもみぢ葉寄する夜風あり
     萩は散り好日菊にやや早く
     御手洗へ雨がこぼせし萩紅白
     水注いで甕の深さや虫時雨
     振り向けば山見ゆるなり枯芒
     桔梗の白の切り込みくるひなく
     秋霖や網戸すだれと流人われ
     白萩に蜘蛛の吊りたる一花二花


草紅葉谷戸ふかく人住めりけり     赤榴子



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Category : 十月
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