石榴舎ブログ 『俳句は自伝』 |                      by Toyokazu Suzuki

今月の一句 <九月>

甘からむ露を分かてよ草の虫   石川 桂郎


 遺句集『四温』(昭51・5、角川書店)所収。食道癌で入院中の聖路加国際病院での作。

 <清拭のすむ間を待てよ含羞草><虫のこゑいまなに欲しと言はるれば><酒壷に十日の菊ぞ挿したまへ><寝返りて病者に巨き子規忌かな><虫の秋眠れぬ夜はねずにあり>。

 病室での桂郎は、内心はともあれ、冷静に、平常心を失わず、仰臥に耐えていた。
 桂郎の弟子で聖路加の若い医師細谷喨々は、末期までの一部始終を「桂郎先生闘病の記」(「たかんな」11号、昭51・2)に記録した。
 「解剖が終り先生の御遺体を裏口から送り出す頃には時雨がふり出し、解剖台の上での先生の血の色が網膜に残っていて雨の一粒一粒が、暗い空から降ってくるのにもかかわらず緑っぽくキラキラ輝いて見えた」。

 昭和50年11月6日、永眠。享年66。

 没後、前記『四温』と、エッセイ集『残照』(昭51・10、角川書店)の出版を私は担当した。


石川桂郎を憶ふああああああああああああ
晩年の美髭に威あり秋の風    赤榴子

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Category : 九月
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