石榴舎ブログ 『俳句は自伝』 |                      by Toyokazu Suzuki

今月の一句 <八月>

八月の思ひうすれて老いゆくか   川崎 展宏


 句集『冬』(平15・5、ふらんす堂)所収。
 70代前半の作者の、すこし老いいそいだ所懐を直叙した句。「老いゆくか」の述懐は、むろん作者自身のものだが、昨今の世情をみるにつけ、老いてゆくのは、この日本の国だ、とも読める。

 八月の句といえば、<八月を送る水葬のやうに>(『秋』)、<八月十五日/吶喊(とっかん)も鬼哭も秋の声なのか><八月の吐息の残る西の空><敗戦の年の真赤な天井守>(以上、『冬』)などがある。「天井守(てんじょうまもり)」はトウガラシの一種。
 『冬』以後の句に、<黒潮の遥かに柩八月の><火まみれの船を送るや八月尽><特攻機が墜ちるモノクロの八月><黒い帆がゆく八月の胸の海>など。

 川崎展宏は、笑みをたやさぬ温顔のうちに、瞋恚と反骨とを失うことはなかった。


川崎展宏を憶ふ11111111111111
含羞の声音ぞとはに敗戦忌    赤榴子


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Category : 八月
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