石榴舎ブログ 『俳句は自伝』 |                      by Toyokazu Suzuki

師弟の道-鱒二忌に-

   鱒二忌は師の誕生日山女どき       福田甲子雄

7月10日は井伏鱒二忌であり、飯田龍太の誕生日。鱒二は平成5年のこの日、荻窪自宅近くの東京衛生病院で肺炎のため死去。享年95。12日、隣接の天沼教会で密葬が行なわれ、龍太はこれに参列している。

     Ⅰ先生芸術院賞受賞
   春風のゆくへにも眼をしばたたく       龍 太

     爾今「尊魚堂主人」と自称すと来信あれば 
   百千鳥魚にも笑顔ありぬべし         龍 太

風交40年。『井伏鱒二・飯田龍太往復書簡』(平成22年8月、角川学芸出版)は、作家と俳人との稀有な書簡集である。山梨県立文学館の企画展「井伏鱒二と飯田龍太」開催中の昨年10月23日、廣瀬直人・近藤信之両氏の講演と対談の終了後、司会の井上康明氏の突然の指名で書簡集立案者の弁をといわれ、私は次のようなことを述べた。

「龍太は常々俳句から俳句を学ぶことはできない、俳句を学ぶ最もてっとり早い方法はよい散文を読むこと、と語っていた。そういう意味で、井伏鱒二は龍太の俳句の師であったといってよいと思う」
 
過ぎてしまえば40年も殆ど須臾に等しいが、鱒二・龍太の師弟関係が破綻しなかったのは、互いのおもいやりと畏敬の念が失われなかったからだろう。弟子は師から学び、師も弟子から学ぶものがなくなれば、両者の関係は消滅するほかない。

真の師弟とは、ときに荊の道であり、これに耐え、歓びとなし得た者だけが師弟関係を全うすることができるのだ。

   赤富士を眼福とせり鱒二の忌         赤榴子

      
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          『井伏鱒二・飯田龍太往復書簡』 角川学芸出版刊

                               

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