石榴舎ブログ 『俳句は自伝』 |                      by Toyokazu Suzuki

今月の一句 <九月>


秋爽の聖アッシジの街に鋭声(とごえ)   金子 兜太


 アッシジはイタリア中部の都市。高い丘の斜面に聖フランチェスコ大聖堂が建つ。しずかな、信仰の町だ。そこに「鋭声」を聴いたのが、いかにも兜太らしい。アッシジという地名と、「秋爽」という季語が響きあって句の背景を広げ、効果的だ。

 アッシジを訪れたのは何年か前の冬で、枯木立が影絵のようだった。その後の大地震でジョットの鐘楼や聖堂のフレスコ画が被害をうけたが、すぐに修復された。

 景勝地を訪ねて、その土地の句のないことはさびしいことだ。アッシジという地名入りの句をのこしたことは、さすがに句作体験豊富な兜太である。句には、一気呵成の力が感じられる。


アッシジの雨のなかなる枯木立  赤榴子




Category : 九月
Posted by sekiryusha on  | 0 comments  0 trackback
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