石榴舎ブログ 『俳句は自伝』 |                      by Toyokazu Suzuki

今月の一句 <六月>


六月馬は白菱形を額に帯び  中村草田男


 昭和15年作。『萬緑』所収。
 <ろくぐわつうまはしろひしがたをぬかにおび>。八五七の字余りは、草田男俳句の表現スタイル。対象から目をそらさずに詠むという写生の方法と、<六月馬は>という意表をついた措辞が効果的だ。<六月の氷菓一盞の別れかな>(『長子』)も6月になると思いだす愛誦句。

 <馬多き渋谷の師走吾子と佇つ>(昭14)、<行く馬の背の冬日差はこばるゝ>(昭18)、<笛の音遠し昼寝若人裸馬>(昭22)。

 子供のころ、裸馬に乗せてもらったことがある。馬の背の思いがけない高さへの恐怖と恍惚と。どこにもあった厩(うまや)は、忽然と消えた。

 デューラーの馬は、草田男の形象化に影響を与えている。<仔馬爽か力の入れ処ばかりの身>(昭22)。


六月や背筋を正す騎馬少女   赤榴子


今月の一句<六月>

Category : 六月
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